※本記事は、一般社団法人全国青果卸売市場協会が発行している機関誌『全青協』(令和5年7月1日発行、通巻634号)掲載の「わが社の自慢話」を転載したものです。
全3回連載でお届けします。今回は第2回です。
お客様第一主義の方針を出す、利他の心(買い手様の利便性と生産者様の収入を増やす)
買い手様(仲卸、小売)とのトラブルもしょっちゅうありました。
当初、私たちにはお客様という感覚はありませんでした。
まさに「売ってやる」という対応だったのです。そういう考えであったので、買い手様とのトラブルはしょっちゅうでした。
しかし、世の中はだんだん変わってきました。我々の業界も規制緩和が叫ばれ、市場の手数料も自由化されました。小売業界もどんどん変わり、熊本では地元の中堅スーパー2社が倒産し、イオンやイズミの大手に買収されました。
JAも合併して大きくなっていきました。
これまでの「売ってやる」という態度では、これからの大規模JA、大手量販店や外食産業、加工業者様へは通用しない。
お客様第一主義を取らなくてはいけない。そう考え「生産者様の所得向上と、買い手様の合理的な仕入れと楽しさを演出する。」という方針を出しました。
なかなか浸透するのには苦労しました。
「せりで買ったものが傷んでいるから返品したい。」といわれても、「見て買ったのだろう、自分の責任だから返品には応じない。」と言います。「返品やクレームに応じなさい。」と言うと、「私たちのプライドはどうなるのですか。」という始末でした。
私は「お前のプライドより、お客様のほうが大切だ。」と話して聞かせ、お客様が安心して仕入れができ、喜ばれなければ我社の売上は上がらないのだということを訴えていきました。
少しずつ社員も分かって態度が変わってくるようになると、お客様のほうも変わってこられました。それまで我社といろいろとぶつかってきた、仲卸組合と小売商組合が大変協力的になってきたのです。
今では両組合とも、市場を良くするためには協力は惜しみませんと言ってくれるビジネスパートナーとなっています。他の市場からはどうすればそんな協力関係ができるのですかと驚かれています。
本社社屋
せり風景
「わが社の自慢話」熊本大同青果株式会社 様(3)へ続く
※fudoloopメールマガジン(掲載日:2024年2月9日)
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