※本記事は、一般社団法人全国青果卸売市場協会が発行している機関誌『全青協』(令和5年7月1日発行、通巻634号)掲載の「わが社の自慢話」を転載したものです。
全3回連載でお届けします。
全国青果卸売市場協会 会長 月田 求仁敬
熊本大同青果株式会社 代表取締役会長
熊本県青果卸売市場連合会 会長
今までの方が控えめだったので、私は思いっきり自慢をさせていただきます。
1998年(平成10年)40歳で会社を引き継ぎました。
当時売り上げは200億円を超えていましたが、社員の定着率は悪く、若い社員が不満を持ちよく辞めていました。
また合併会社であった為、社内に派閥もありました。
果実部(別棟)、野菜部(本社一階)、管理部(本社2階)と事務所も分かれていて、それぞれが全く別々の会社といった状況でした。営業はライバル会社と戦えばいいものを、わが社の内部でお客様の取り合いをしている始末、お互いに権利の主張ばかりしていました。
さらに悪いことに会社をまとめるべき総務は2階にあることをいいことに、現場で働く社員を見下し「私たちの事務所は静かできれいだし、市場に勤めているような気がしない。」と言い、1階の事務所に下りてもきませんでした。
年末に私が現場の社員と荷受けするスペースを開けようと荷物を片付けていると、それを見た幹部が「あれは全部社長の儲けになるからするんだ。」とタバコを吸いながら見ていました。
経営の目的が明確でなく、社員の心がバラバラでベクトルが揃っていなかったのです。
そこで社員が共感すると思う経営理念を掲げました。
「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、地域社会の発展に貢献する」
京セラの稲盛さんの経営理念をほとんどそのまま頂きました。
そしてこう呼びかけました。
・社長自身、自らの私利私欲には絶対走らない。
・全社員が、熊本大同青果に入社してよかったと思える会社にしていく。
・社長がどのような考え方で会社を運営しようとしているのか、その考え方・方針を、社員へ伝えることにより、全社員一丸となって会社の目的達成のために努力する集団となれるよう行動していこう。
そして以下のことをやっていきました。
1.事務所をワンフロア
事務所を広げ、野菜部、果実部、管理部、全部同じフロアに集めました。
これにより部門間の壁がなくなりコミュニケーションが良くなり風通しが良くなりました。
2.朝礼
朝5時、始業前に朝礼をし、点呼を取り、「経営理念」・「行動指針」の唱和をしました。
周りからは自衛隊か小学校かと揶揄されましたが、これにより遅刻、無断欠勤がなくなり、社員が元気に仕事を始めるための重要な毎朝の行事となっております。(現在は時短のため月・木・金の9時40分に変更。)
朝礼風景
3.全社員全員出席でのレクレーション年6回
全社員バーベキュー大会、全社員駅伝大会、全社員一泊旅行、全社員新年会、決起大会、新春登山。
出席を採り、懇親会中は禁煙、トイレ以外会場から出てはならないことを徹底しました。
最初のうちは、タバコを吸いに出てたむろし会場に帰ってこない社員がいたからです。
4.各部での通年コンパ
各部でコンパを年12回(現在4回)実施、部門内でのベクトルも揃えていきました。
幹部と社員が胸襟を開き話すことで信頼感が増し、幹部への社員の不満がなくなっていきました。
5.その他の活動
広報委員会、5S委員会、ゴルフコンペ委員会、等々の各種委員会活動や野球部、なんちゃってクラブ数個など、いろいろな活動を通して社員の親睦と意思の疎通を図っています。
これらの取組の結果、大変明るい元気な会社と言われるようになりました。社員の定着率も良くなり、新入社員の定期採用活動も始めました。我社で行う学生向けの会社説明会や早朝見学会には、朝が早く、力仕事もある職場と言う不利な条件でも、当時は120名を超える学生が来てくれるようになりました。
現在はWEBでのリクルート活動になっています。
「自分の子供を入れたいと思える会社にする。」ということについても、現在、親子の社員が5組11人、兄が弟を誘い兄弟で働いている社員が6組12人、夫婦の社員が12組となり、そのときの目標は達成しました。
「わが社の自慢話」熊本大同青果株式会社 様(2)へ続く
※fudoloopメールマガジン(掲載日:2024年2月2日)
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