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8.農産物物流改革の方向性【全8回連載】

流通経済大学 流通情報学部 教授
矢野 裕児氏

 現在の農産物物流は、各生産地から個別に消費地側の卸売市場に直送される場合が多いといえます。そのため、生産量が少ない地域から、あるいは年間の生産量が多くても、最盛期でない時期は、貨物量のロットがまとまらず、低積載率となるため、結果的に1商品当たりの物流コスト比率が高くなり、運べないという事態が発生します。特に、物流2024年問題で、このような影響を受けるのが中・長距離輸送です。

 中・長距離輸送について、混載などにより農産物をいかに束ねて輸送するか、1回あたりの積載量を大きくする仕組みの構築が重要といえます。そのためには生産地側も単位農協ごとに出荷するのではなく、複数地域の農産物を集約する広域選果場、あるいは地方部の卸売市場について、地域農産物を集約するノード(結節点、拠点)として機能させるなど、広域に農産物を集めるノードが必要といえます。同時に、消費地側でも、混載などにより束ねられてきた農産物を、複数の卸売市場あるいは小売物流センター向けに仕分けるノードを整備する必要があります。
 例えば首都圏のノードは、圏央道沿いなどの外周部に立地させ、都市中心部への貨物車流入を減らすことによって、ドライバーの拘束時間を短縮させると同時に、交通混雑を避け、計画的な輸送を可能にすることにもつながります。そのため、幹線輸送部分においていかに貨物を束ねるかが重要となります。
 このように今後は、全国の生産地、卸売市場、小売間を結びつけ、新鮮な農産物を安定的に供給するため、物流ネットワーク全体の再構築が必要といえます。

 さらに250km未満の中距離輸送においても、日帰り運行が難しい場合は、今後ドライバー確保が困難になる可能性が高いといえます。その解決策として、中継輸送の導入も検討すべきです。一方で、短距離の地産地消型に対応したきめ細かなネットワーク構築も欠かせません。地域に密着した新しい短距離輸送サービス、例えば、鉄道、バスを利用した貨客混載、やさいバスなどの試みがなされています。卸売市場向けの短距離輸送については、輸送手段が確保しやすく、かつ商品価格に対する物流コスト比率も比較的低いことから、これまではあまり問題とされてこなかったといえます。そのため、各生産地が個別に輸送することが多かったのですが、今後、需要に合わせた小口多頻度輸送がますます求められるなか、地域での混載、貨客混載などを進めることが重要といえます。

図 農産物物流ネットワークの再構築

 ドライバー不足、労働環境の改善といった問題に直面するなか、これまでのような無理な労働環境の輸送によって成立してきた農産物物流は、今後立ちいかなくなる可能性が高いといえます。全国で生産された農産物を、全国どこへでも、確実に供給するためには、サプライチェーン全体の改革が必要となっています。ロットの適正化、配送頻度の見直しといった商慣行の見直しを図ると同時に、サプライチェーンでの連携、情報の共有化といったことも重要です。同時に、生産地側の生産品目、小売業での農産物の品揃えを変えていく必要があると考えられます。現在、旬という意識がなく、全国の農産物が全国で売られているわけですが、旬、地産地消を積極的に進めていく必要があります。ただし、地産地消というと、狭い地域で生産された農産物に限定する場合が多く、品揃えが制約されることとなります。ここでいう地産地消とは、250km圏域程度で生産される農産物を集荷するというもので、卸売市場がネットワークを組みながら、供給する体制を構築すべきといえます。

以上

以上8回に渡り、「物流2024年問題 農産物物流の今後の展望」について解説、提言をしてきました。
物流2024年問題はこれから始まります。
自社だけで解決できることは少なく、関係する様々な会社と連携を進めることが必須となります。多くの工夫や取り組みを通して農産物物流を改善し、青果物流通を維持、拡大を目指していきましょう。

(fudoloopチーム)

※fudoloopメールマガジン(掲載日:2023年12月22日)
※本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。

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