MENU
FREE TRIAL

無料トライアル
実施中!

MAIL MAGAZINE

お役立ち情報を
お届け!

050-3066-5400

月曜〜金曜 9:00~17:00

お役立ち情報

メルマガ

1.物流危機とは何か?【全8回連載】

流通経済大学 流通情報学部 教授
矢野 裕児氏

『物流の2024年問題』。
 2024年4月から「働き方改革」の関連法施行により自動車運転が伴う業務の時間外労働の上限規制等が適用され、何も対策を講じなければ今のように荷物を運べなくなり物流が停滞しかねなくなると言われています。
 農産物の物流はドライバー不足等の影響を特に受けやすい特徴があり、中・長距離輸送においては特に深刻です。
 この度、日本物流学会会長や東京都卸売市場審議会会長代理等を務められている流通経済大学の矢野 裕児氏に、物流の2024年問題と農産物物流について執筆していただけることになりました。
 今一度「物流の2024年問題」を再認識し、農産物物流の特徴や直面している課題等を知ることで、みなさまの事業におけるヒントになれば幸いです。
 それでは第1回「物流危機とは何か?」をどうぞお読みください。

(fudoloopチーム)

 物流危機という言葉を聞いたことがあるかと思います。毎日のようにテレビ、新聞等で取り上げられる物流危機とは何か、その背景も含めてお話しします。

 物流危機というのは、荷物を運んで欲しいという物流需要があっても、ドライバー不足などにより、運べない、あるいは遅延するというものです。2017年、ネット通販の拡大により急増した宅配便需要に対して、宅配便会社が荷物の総量規制と配送料の値上げに踏み切り、宅配危機ということがいわれました。その時は、宅配便だけの問題ととらえられることが多かったのですが、その後物流全体の問題として物流危機が言われるようになりました。
 需要拡大に対して供給が間に合わないという事態は、高度経済成長期、バブル経済時も、発生しましたし、2013年度後半にも2014年4月の消費税値上前に駆け込み需要が発生し、トラックが足りず荷物が運べなくなりました。しかしながらこれらは、需要の急増に供給が間に合わないというものであり、その後、需要が落ち着くと解決しました。 
 それに対して、現在問題となっている物流危機は、これまでのような一時的な需給バランスの崩れではありません。ドライバーのなり手がいない、高齢化しているということが背景にあります。今後、中長期的に、運んで欲しいという需要に対して、運べないという事態が継続するのです。

 道路貨物運送業は、人間の労働力が支える典型的な労働集約型の産業といえます。就業者を増やすことによって、トラック輸送は成立し、発展してきました。国勢調査による道路貨物運送業のドライバー数の推移をみると、1980年の64.4万人から1995年には98.0万人となっており、この間52.2%増と大幅に増加しました。同期間、全業種の就業者数は、14.9%増の伸びにとどまっています。ドライバーの伸びがいかに大きかったかがわかります。しかしながらその後、ドライバー数も大幅に減少し、2000年の97.3万人から、2005年には88.1万人、2010年には78.4万人と、それぞれ9.5%減、11.0%減となっています。2015年には微減、2020年には微増となりましたが、ドライバーの有効求人倍率は、2015年からは2.0倍を上回るなど高い水準で推移しています。新型コロナウイルス感染拡大のため、若干落ち着いていたものの、2022年後半から上昇傾向となっています。
 特に深刻なのは、若い人がドライバーになりたがらないということです。ドライバーの収入は、全産業に比べて大型トラックで約1割、中小型トラックでは約2割安い一方で、労働時間は全産業に比べて2割長いとされています。さらに荷物の積み下ろしなどの作業がきついなど、特に若い人にとって、魅力的な職業とはなっていません。そのため、ドライバーの平均年齢が高く、大型トラックは50歳に達しようとしています。ドライバーの数は、今後大きく減少し、輸送力は2015年に比べて2030年には約3割減少するという予測も出ています。このように物流危機は、中長期的に続くとみられ、日本の経済、社会に大きな影響を与えることが危惧されています。

以上

※fudoloopメールマガジン(掲載日:2023年11月3日)
※本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。

前の記事 一覧 次の記事
電話で
お問い合わせ
月曜〜金曜 9:00~17:00
050-3066-5400
WEBサイトから
お問い合わせ
x