紙を使っていることで時間がかかっている業務があれば、ペーパーレス化も選択肢の1つです。そこで今回は、ペーパーレス化のポイントを解説します。
紙を使っている業務の洗い出し
とにかく全部の業務をペーパーレス化するのではなく、まずは紙を使っている業務がどのくらいあるかを洗い出します。まずはメールマガジン第11回(10/28掲載)で紹介した業務の棚卸のように、どのくらいの頻度で紙の印刷や書類作成を行っているのか、どのくらいの時間がかかっているのかをまとめておきます。量にもよりますが、大抵の場合、紙の業務を一気になくすのは難しいです。洗い出した際の業務量、時間数などから、どこから対応すべきかの優先度をつけておきましょう。
ペーパーレス実現方法の検討
洗い出してみればわかると思いますが、「紙を使っている業務」と一言で言っても、書類の保管のように社内だけで完結するものもあれば、取引先との請求書のやりとりのように社外にも協力を仰ぐ必要のあるものもあります。
社内の文書保管には、自分のPCに文書を保管するのではなく、クラウド上にファイルを保管するサービスを用いることがほとんどです。「クラウド上にファイルを保管するサービス」とは、ファイルを各々のPCや社内のPCに保存するのではなく、ファイル保管に特化した社外のシステムへ保存するものです。この仕組みを利用することで、複数人が同時にファイルを閲覧・編集することもできますし、インターネットに繋がるPCやスマートフォンがあれば、社外からでもファイルを閲覧・編集することができます。
何か特別なシステムを入れずとも、取引先に郵送していたものをメールやFAXに変えるだけでも大幅な業務効率化を実現できることは、米子青果の事例でも紹介した通りです。メールはともかくFAXのままだと紙は減らないと思う方もいるかもしれませんが、「インターネットFAX」という紙を使わずにメールを送る感覚でFAXを送れるツールも存在します。そのようなツールへ移行するだけでも、紙の量は減らせるでしょう。
ペーパーレス化がもたらすもの
ペーパーレス化がもたらすものは、労働時間短縮だけではありません。大きな効果の1つはコスト削減です。紙を印刷しなくなるため、プリンターのインク、トナー、用紙などの経費削減が期待できます。シュレッダーや書類溶解サービスといった紙の廃棄にかかる経費も同様です。データでやりとりができるようになれば書類の保管場所も縮小できますので、オフィスの縮小化の検討を進めている企業も他業界では増えています。
もう1つの効果は、情報の利用がしやすくなることによる業務効率化です。須崎青果での事例では「ペーパーレス化により作業の自動化ができるようになった」、米子青果の事例では「伝票やFAXの電子化により複数人が同時に同じ伝票を確認でき業務にスピード感が出た」と、両事例共に「紙の削減」の先にある「業務効率化」をペーパーレス化の効果に挙げていました。
とはいえ、ペーパーレス化を進めるには社内外どちらの協力も必須です。社内外の関係者をどのように巻き込んでいくかは別の回で紹介します。また、ペーパーレス化には何かしらのITツール導入が必要になることがほとんどです。
そこで次回は、システム導入の際のポイントを紹介します。
※fudoloopメールマガジン(掲載日:2022年11月18日)
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