今回がこのメルマガの最終回となります。私は、青果流通業者の活性化に最も必要なことは、「経営者の意識改革」だと思っています。
昔、青果流通業界のコンサルタントに、「小さいことはいいことだ」と説く方がいました。その真意は「中小業者は規模が小さいからこそ、経営者が思い立ったらすぐに実行できるメリットがある。その小回りを活かせ」というものでした。ここでいう小回りというのは、「取引ロットが小さい」というレベルのことではなく、「顧客の求めるサービスをすぐに実行する」ということです。
しかし実際には、大手業者の方が、よほど小回りが利いています。逆に中小ほど動きが鈍く、「ただ小さいだけ」というのが現実です。大手ほど努力しています。いまのままでは、今後も格差が拡大していくのは必至でしょう。
大手企業や市場外業者がますます機能を、しかもコールドチェーンや様々な新規サービスを打ち出して、目に見えるかたちで向上させていく中、同じこと、同じビジネスモデルだけをいつまでも続けていていいのでしょうか? 「現状維持」は「衰退」に他なりません。
そして、ますます経営状況が厳しくなる中でも、とくに地方都市の市場業者の社長には、まだまだ「地元の名士」という意識があり、吸収合併を受入れて「社長」という自分の立場を手放すことには、後ろ向きな人が多いのも現状です。“雇われ社長”となった場合の自分の経営能力に自信がないため、解任を恐れることもあるようです。
地域への貢献も考えましょう。都市部ならたとえ1社が廃業しても、他のルートは色々あるので、地域の青果物流通に影響はありません。しかし地方都市では、いくら大都市の流通業者が売り込んでいるとはいっても、個選農家や青果店などへの影響は否定できません。もちろん社員と家族の生活もかかっています。「やれるところまでやって、ダメなら廃業」と簡単に考えてよいのでしょうか? その前に、統廃合を含めた活性化策を実施するべきではないでしょうか?
一方、会社の資産は、株式や土地、預貯金だけではありません。会社のノウハウ、社員のスキル、そして取引先とのネットワーク。これらの「無形資産」も立派な資産で、次世代に継承しないのは、あまりにももったいない。
経営の厳しい青果業者が将来を考える際、「まず本業で活性化できるか、本業で活性化をめざすべきか」を判断し、次に「統合すべきか、統合できるか」を判断すべきだと思っています。多くの場合、ジリ貧に陥れば、そのまま復活しません。
もちろん、経営者はこれまで色々、活性化策を考え、実践してきたことでしょう。でも、社長一人ではできなかったかも知れません。それならいっそのこと、他の役員や社員の意見も聞いて、取り入れてはどうでしょうか? あるいは将来への生き残りのため、みんなの会社に転換してはどうでしょうか?
青果流通業界だけに限ったことではありませんが、とくに会社を立ち直らせようという場合は、こういうことまで含めて「このまま同じように続けていていいのか」という意識を持っていてもらいたいのです。青果流通業者の皆様の活性化を祈願します。
※fudoloopメールマガジン(掲載日:2023年5月26日)
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