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7.青果業界における資本統合の増加
〜将来を見越して前向きに〜【全12回連載】

株式会社農経新聞社
代表取締役社長 宮澤 信一 氏

  “一国一城の主”が多く、中小でもなかなか統合が進まなかった青果流通業界ですが、近年はさすがに統合・合併、あるいは異業種・異業態による資本参加がみられるようになりました。

 このうち同じ卸売市場内での統合例は、札幌みらい中央青果(丸果札幌青果と札幌ホクレン青果)、セントライ青果(丸協青果を統合)、岐阜中央青果(岐果岐阜青果を統合)、仙台あおば青果(仙印仙台中央青果卸売と宮果が統合)、R&Cながの青果(長野県連合青果と長印が統合)、長崎でじま青果(長崎大同青果と長果が統合=2023年4月1日発足)などの事例があります。

 また、セントライ青果(名古屋市場)による浜中(浜松市場)のグループ化、東京青果による東一神田青果(旧・東京神田青果市場)のグループ化など、別会社にしたままでの統合もあります。

異業種・異業態による青果卸への資本参加事例

 注目されるのは、異業種・異業態による資本参加です。その狙いをひと言でいえば、「互いの本業同士の相乗効果」を狙ったものです。まず異業種では、神明グループが提携する複合農家の支援や、グループの取扱品目に青果を加えることなどを目的に、東京シティ青果などに資本参加。食肉卸・飲食店等展開のまるひでグループは、青果部門をグループ化することによる原料食材の安定化などを狙って、丸果大分大同青果に資本参加。また富永商事ホールディングスは、主力商品であるカボチャやパプリカなどの九州における販売拠点と九州産青果物の仕入れのため、佐世保青果に資本参加しました。

 逆に、資本参加を受ける青果卸の事情はどうでしょう。後継経営者の不在、今後の見通しへの不安など、各社に色々な事情はあるでしょうが、端的にいえば「将来を見越して」の決断であり、「話があるうちに」決断したということです。このような決断をぐずぐず延ばしていると、話が流れてしまうことが多々あります。

 そして最近では、エア・ウォーターが中心となり、デリカフーズホールディングス、ベジテックというカット野菜業界における大手ライバル同士が連携することも発表されました。エア・ウォーターは近年、アグリ&フーズ事業を強化しています。「本当に協業できるのか」と疑問視する向きもありますが、今後が注目されます。卸売市場業者でこそありませんが、青果業界の大手同士でも連携を模索する時代です。

※fudoloopメールマガジン(掲載日:2023年3月31日)
※本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。

 

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