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8.きちんと事業承継ができない青果市場業者
〜基本を学ばないためにいい加減なケースも〜【全12回連載】

株式会社農経新聞社
代表取締役社長 宮澤 信一 氏

 中央卸売市場、地方卸売市場の青果市場業者は、事業承継をきちんと考えているでしょうか? 単に社長が代わるだけでなく、「事業を承継する」のです。これは、いわば「新幹線の運転士が、トップスピードで走行している最中に交代する」ようなもので、事前に入念な準備と訓練が必要です。事業者にとっては最も大事なことであるにもかかわらず、大口顧客からのクレームや事故・災害など「急を要する目先のこと」ではないため、とくに中小企業は先送りにしがちです。

 事業承継について正確に述べましょう。これは「経営の承継」「経営者交代」「資産の承継」の総称で、単なる節税対策ではありません。まず企業の価値、将来の見込み、株などの資産状況といった現状を第三者が認識・把握し、そのうえで後継者と承継方法を確定させ、さらにその承継を実行するための事業承継計画を作成します。通常、承継方法には、後継者に対する「経営者教育」も含まれます。

 理想的な承継では、

  • 1-1. 事前に後継者を決定し、後継者は他企業や自社内で複数の部署の勤務を経験している
  • 1-2. 現経営者と後継者が、承継時期、役割分担、資産対策などを事前に十分に協議している
  • 1-3. 社内への周知、社員の理解(時期経営者への協力体制の構築)や主要取引先・金融機関への事前の周知(必要な場合は保証の引継ぎ)を万全にしている

―などの特長がみられます。この前提としては、経営者と後継者の仲が比較的良好なことが多いと思います。

 これに対して、青果市場業界でありがちな悪い承継の例を挙げると、

  • 2-1. 同族会社ではない会社で、「経営者としての適性」ではなく、「派閥争いに勝ち残った役員」が後継者に
  • 2-2. 経営者と後継者候補の子息が親子喧嘩し、後継者候補が不在に
  • 2-3. 業界外から社長の子息を呼び寄せて後継者候補にしたが、現場作業や営業を全く実践せず、「数字だけで判断した改革」を進めようとし、現場が猛反発
  • 2-4. オーナー会長が実権を握って院政を敷いており、「古き良き時代の、自分のやり方」を後継者に強要。後継者は改革などが何もできない状態に

 いずれも「事業承継の勉強を全くしていない」ことが原因だと思われます。承継は100社あれば100通りありますが、事前に少しでも勉強し、たとえ全部はできなくても「基本形」を少しでも頭に入れていれば、まだ違ってくるのですが。

 その中で2-1.のケースは、同族会社ではない会社にありがちです。「営業畑で、営業のことしかわからない役員」が経営者となるケースが最も多いようです。2期4年などで経営者が退任することが慣例の会社では、「自分の任期のこと」だけを考え、とくに最終年は絶対に赤字を出さないよう、本来は計上すべき経費を次期に繰越し黒字として、「自分の退職金を満額得る」ことだけを考えていたような経営者もいました。

 一方の同族会社も、立派な承継ばかりではありません。一例を挙げると、赤字が続き社員が疲弊しているのに、「地元の名士」という立場を崩しかねない「吸収合併」に、断固として反対し続けたケースなどがありました。また、後継者は全く青果市場を運営する気がなく、やはり社員が疲弊してしまうケースもあります。

 中央卸売市場、地方卸売市場は国の法制度の下で運営されているもので、市場業者を含めて「社会インフラ」といっても過言ではありません。その社会インフラが、きちんと将来を考えることなく「やれるところまでやって、あとは廃業」では“失格”です。

 また、セントライ青果(名古屋市場)による浜中(浜松市場)のグループ化、東京青果による東一神田青果(旧・東京神田青果市場)のグループ化など、別会社にしたままでの統合もあります。

※fudoloopメールマガジン(掲載日:2023年4月14日)
※本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。

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