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6.自己資本比率の推移
〜赤字が続けば債務超過もあり得る〜【全12回連載】

株式会社農経新聞社
代表取締役社長 宮澤 信一 氏

 資産が減少し続けると、当然ながら会社は存続できなくなります。

 当社が発行する農経新聞の全国主要青果卸決算特集(2022年7月25日号)をみても、経営内容のよい大手業者は着実に純資産を増加させ、逆に中小あるいは大手でも赤字が続く卸は、純資産を減らしています。中には毎年のように不動産や投資有価証券を売却して、なんとか最終損益ベースでは、つじつまを合わせているところもあります。

 また、このままのペースで推移すれば、数年後には債務超過に陥ることが危惧されるような卸もあります。「債務超過に陥った青果卸」というのは長らく聞かれません。もちろん債務超過だからといって、法律上、企業運営ができなくなるわけではありません。しかし金融機関からの借入金利が高くなり、融資のハードルも高くなるなど、ただでさえ厳しい会社運営がますます厳しくなっていくことは明白です。

 一方で、青果卸はすごいなと感心することもあります。それは、「長期借入れをしていない卸」が相当数あることです。2021年度の主要青果卸決算では、中央市場青果卸50社中、なんと6割の30社に長期借入金がありません。その背景には、まず青果市場特有の制度である「代払い」で、「代金回収と出荷者への支払いのタイムラグ(=資金繰り)をほとんど考えなくてもよい」ことが挙げられます。また、無借金経営といえば聞こえはよいのですが、「積極的な設備投資をしていない」ともいえます。

 ただ、会社の規模に比較して、借入金比率が高くなるのも感心できません。2020年度の調査では中央市場青果卸50社に借入金比率30%以上の卸が5社ありますが、このうち60%と突出していた卸は事実上破綻しました。

 ちなみに現在の卸売市場法では、中央卸売市場・地方卸売市場とも卸売業者は事業報告書のうち「出荷者が安定的な決済を確保するために必要な財務に関する情報(貸借対照表)」を、取引関係者から閲覧の要請があれば開示しなければならないことになっています。つまり、財務内容の概要は関係者に明らかにすることを前提としていますので、手間を省くためウェブサイトであらかじめ公開している卸もあります。

 また、これも農経新聞 全国主要青果卸決算特集より「売掛金比率」を計算してみると、0.8%~7.9%と幅がありました。分布は、だいたいの卸が2%前後です。こちらについても、最も高かった卸は事実上破綻し、2番目に高かった卸は他の業者の資本参加を受けています。噂レベルではありますが、この売掛金については、経営の厳しい年には〝水増し″されることもあるようです。

 商品在庫や売掛金は、決算報告書に計上されているとおりに現金化できるとは、とても思えません。不動産などの固定資産についても、土地だけならまだしも、老朽化した建物などがあれば取り壊し・撤去費用もかかるため、これも額面通りには受け取れません。

※fudoloopメールマガジン(掲載日:2023年3月24日)
※本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。

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