皆さん、こんにちは。
青果物流通の週刊専門紙「農経新聞」を発行している農経新聞社社長の宮澤信一です。
今週から毎週金曜日にメールマガジン「農経新聞社宮澤社長が数字で読み解く『青果物流通に迫りくる危機と生き抜くヒント』」をお届けします。
初回は、「青果市場の業者は、少ないパイを奪い合っている」という現実です。以下の表は、この30年間の青果市場における業者数、取扱高、1業者あたりの取扱高を約10年ごとに示したものです。このうち1991年は、青果卸売市場の取扱高がピークだった年ですので、1990年のかわりに紹介しています。
青果卸売市場における業者数、取扱高
この30年間で、青果市場全体の取扱高は5兆円から3兆円強へと、約4割も減少しました。これは、市場外流通や産直の発展もありますが、それよりも外食や中食などの食の外部化が進んだことが大きく影響していると言われます。
そして業者数も比例して、おおよそ4~5割減少しました。ちなみに最大で72市場あった青果物を取扱う中央卸売市場ですが、2005年度から中小市場を中心に地方卸売市場への転換が始まり、現在では50市場に減少しています。このため中央市場の仲卸の1社あたりの売上げが増えているのは、中小・零細仲卸の所属市場が地方市場に転換し、中央市場ではなくなったことも大きく影響しています。
さて、これをみると、「卸、仲卸とも集約が進んでいるな」「1社あたりの取扱高も、バブル崩壊でいったんは減ったものの、最近は増えているな」と思うかも知れません。確かにそうとも言えますが、そうでない部分の方が大きいと思っています。
それは、規模別にみた場合、「ごく少数の大手が伸長する中、業者数で大半を占める中小・零細業者は衰退し、経営格差がますます開いている」からです。つまり、中小・零細ほど売上げにおいては「より少なくなったパイを奪い合っている」ことになります。
その内容は、次回にもう少し。
※fudoloopメールマガジン(掲載日:2023年2月17日)
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