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12.第2章 農業経営の課題 事例3(前編)〜販売規模5,000万円~1億円の農家の経営課題〜【全25回連載】

青果流通経営コンサルタント 本田 茂 氏

 3つ目の事例は、5,000万円~1億円規模の施設園芸農家です。

事例3 販売規模5,000万円~1億円の経営相談

 この事例は、東日本大震災の後、被災した若い農家4名が集まってスタートした大規模園芸農家です。1つ目の農業法人(以降「法人X」)を立ち上げ軌道に乗せた後、法人Xの子会社という形で、隣町に2つ目の農業法人(以降「法人Y」)を新たに立ち上げました。このように、複数の法人を持ちグループ化する意欲的な農家が近年生まれてきています。

 家族経営だけでは一定規模以上の投資は難しいですが、今回の事例のように意欲ある農家が集まることで大規模施設での経営が可能になり、役員と雇用を中心とした会社経営を目指すことができます。地域内で兼業の高齢化した構成員が集まって設立される土地利用型の法人は多いですが、このように若くて意欲のある農家が集まって法人経営に踏み出す例は少なく、これからの日本の農業を支える経営体のお手本として期待されています。

 大規模経営のメリットは、長期間に一定以上の数量が出荷できるため、契約栽培などの有利販売が可能となることです。法人Xでは、いちごときゅうりというメイン品目を大ロットで出荷できる利点を生かし、市場や仲卸への有利販売を進めました。その結果、販売金額は2億円に達し、正社員9名、パート30名を超える雇用を生み出すまでに成長しています。
また、この農家は、認証が厳しいとされる「GLOBALG.A.P(農業の国際認証)」の取得にも挑戦しています。GLOBALG.A.Pを取得するにあたり、農場の整理整頓や資材管理や生産管理、安全面などの様々なルールを文書化する等、組織で農業を行うための取り組みも行っています。

 一方、多くの従業員を抱えたことで、役員や従業員たちとのコミュニケーションや組織運営といった、家族経営の時には経験しなかった問題に直面することになります。しかし、年に数回は役員が分担して全従業員と個人面接をするなど、大規模経営の課題を前向きに達成してきました。

 転機は、隣町に法人Yを設立しミニトマトの栽培を開始した途端、台風18号による洪水が起こり、法人Yの施設が全壊したことです。法人Yの復旧を進めるにあたり、事業計画の作成と資金繰り支援の相談を受け、経営支援がスタートしました。
農業では特に、大きな投資をするときには資金繰りが悪化します。作物を植えてから、収穫、出荷を経て、ようやくお金が入るからです。国の復興交付金や様々な助成金、つなぎ融資を受けるにしても、申請手続きや、収支計画や資金繰り計画の作成などが必要です。

 この事例の農家でも、復旧と栽培開始だけでも大変な中、何から手を付けていいかわからない状況でした。しかしこのような状況下でも、法人Yの従業員を法人Xに移すことで雇用を維持するなど、若い役員達は復旧に向けて前向きで、決して諦めてはいませんでした。

 この農家に対し、筆者はどのように復旧支援をしていったでしょうか。
 皆さんならどう支援していくか、ぜひ考えてみてください。支援策は次回解説します。

今回の事例のポイント

若い経営者が家族経営から脱却し、大規模園芸に挑戦している事例です。
大規模園芸では天候の影響を受けにくく、長期間栽培と大ロットでの出荷が可能になり、有利販売に繋がりやすいです。
温暖化をはじめとする異常気象により、今後自然災害と向き合っていくことは農業の1つの大きな課題です。

以上

※fudoloopメールマガジン12号(掲載日:2022年3月11日)
※本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。

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