今回からは、実際に働き方改革に取り組み成果を上げている企業を2社紹介します。まずは3回にわたり、株式会社須崎青果の取り組みを紹介します。
株式会社須崎青果は、高知県の青果卸売市場です。現在、パートを含め従業員は40名、2021年度の取扱高は70億円にのぼります。今回は市川義人社長に話をうかがいました。
働き方改革に取り組んだきっかけと抱えていた問題
市川社長は青果業界に入った当時から、「残業が多く休みの取れない」という市場で当たり前とされている働き方に疑問を持っていました。市川社長の性分もあり「他の市場も同じような働き方だから自社もそれに従って」という考えはおかしいと感じていたそうです。さらに、大手の企業で働き方改革ができるなら、そっくりそのままではなくとも自社でも近い状態まで持っていけると考えていました。ただ、社長に就任するまでは声をあげてもなかなか聞いてもらえず、改革は行えませんでした。そして社長に就任したことを機に、この「当たり前」を打破しようと動き出します。
働き方改革に取り組む前の須崎青果には、いくつもの問題がありました。まず、残業代がきちんと出ておらず、勤怠打刻も行われていませんでした。このような働き方では当然、従業員もなかなか定着しませんでした。
労働基準監督署の監査をきっかけに残業代をきちんと支払うことになりますが、それは同時に、「残業が発生する=余分にお金を払うことになる」という意識を会社に芽生えさせることにもなりました。
取り組んだこと(1) 残業が多い理由を分析する
残業時間を減らすため、市川社長は従業員を増やし始めます。「残業や休日出勤が発生するくらい仕事量が多いなら頭数を増やそう」と考えたのです。しかし、従業員を増やしても、思ったように働き方改革が進みませんでした。市川社長は「業務に偏りがあるのではないか」「業務に変な空き時間があるのではないか」と、業務のやり方に問題があるのではと考え始めます。
そこで市川社長は「従業員がなぜ残業をしているのか」を追究していきます。市川社長は従業員1人1人に、今抱えている業務の詳細やなぜ残業が多いのかなどをヒアリングしていきます。その中で、どこに問題があるのかを把握し、効率化できる部分はないか、業務の再分配ができる部分はないかを分析し、1つずつ対応していきました。
※取材:2022年7月
※fudoloopメールマガジン(掲載日:2022年9月16日)
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