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5.農産物物流が抱える課題【全8回連載】

流通経済大学 流通情報学部 教授
矢野 裕児氏

 農産品物流対策関係省庁連絡会議(農水省・経産省・国交省)の『農産品物流の改善・効率化に向けて(農産品物流対策関係省庁連絡会議 中間とりまとめ) 平成29年3月』(PDFファイルが開きます)によると、農産物物流は、出荷量が直前まで決まらず、出荷待ち・荷下ろし待ち等の手待ち時間が長く、長距離輸送により長時間拘束され、手積み手卸し等の手荷役作業が多いため重労働であり、突然の行き先変更や厳しい品質管理、厳格な到着時間など運行管理が難しく、帰り荷がなかったり、小ロット多頻度輸送が求められるなどの特徴があるとしています。農産物は非常に多品種であり、かつ季節、天候などによって生産量が大きく変動するうえ、それぞれの季節に合わせて全国の消費地市場に輸送しなければなりません。そのため、直前まで輸送量が読みにくく、輸送が定型化されておらず、平準化が難しいため、計画的に業務を進めることが難しいといえます。ドライバーからみると、過酷な労働環境のなか、その場その場で対応せざるを得ず、運ぶのを敬遠する品目となっています。農産物物流の特徴をまとめると以下のようになります。

1.長い拘束時間
 ドライバーの拘束時間が長くなる理由として、まず長距離輸送があります。全国の生産地で生産された農産物を、全国の消費地に向けて輸送しているため、長距離輸送の割合が高くなります。発地側では、毎日の生産量が大きく変動するほか、出荷先も変わるため、出荷量・出荷先がギリギリまで決まらず、ドライバーが荷物を受け取るまで長い手待ち時間がしばしば発生します。着地側においても、特に大都市の拠点市場においては、全国から多くの貨物が集中することから、深夜を中心に混雑し、荷卸しするまでの長い手待ち時間が発生します。このように、運転時間が長く、手待ち時間も長いため、ドライバーの拘束時間が長くなります。

2.パレット化の遅れ
 長距離輸送の場合、パレットを使わないで、手積み手卸しをする場合が多くなっています。パレットを利用すると、積載量が2割程度落ちるとされており、生産地側からみれば物流コストを安く抑えるため、パレット化を避ける傾向にあります。通常、10t車では手積み、手卸しをした場合、作業にそれぞれ2時間程度かかり、ドライバーにとって肉体的負担が大きいと同時に拘束時間も長くなります。このような手積み手卸しを伴う業務を、断るドライバーが増える傾向にあります。パレット化の推進が重要となっていますが、農産物のパレットのサイズが標準化されていないほか、パレットと段ボールなどの外装箱のサイズが合っておらず、パレットの積載率が非常に悪いという問題が起きています。さらに輸送には一般的にT11(110㎝×110㎝)のパレットを使いますが、生産地側の保管などに使われているのは違うサイズが多く、積み替え作業が発生してしまうという問題もあります。

3.小ロット多頻度輸送
 農産物の場合、市場の取引時間に合わせて到着することが必須になります。生産地側の出荷時刻は鮮度面からギリギリに設定されているため、時間的に余裕がなく、鮮度の面からも短い輸送時間が要求されます。かつ、品目が非常に多品種であり、かつ1日に出荷できる量が限られ、同時に鮮度も求められることから、小ロット多頻度輸送にならざるを得ません。そのため、積載率が低くなってしまい、運賃が割高になります。

 既に長距離輸送、繁忙期はトラックが確保できない状況も一部発生しています。また、小ロットの場合は物流コストが非常に高くつくため、生産地側では、ロットがまとまる大消費地の特定の卸売市場にしか出荷しないというケースが増えてきています。農産物物流は拘束時間、手待ち時間が長いこと、さらにパレット化が進んでおらず、手積み手卸しの場合が多く、かつ時間の制約が厳しいため、ドライバーから最も敬遠される品目となっています。

以上

※fudoloopメールマガジン(掲載日:2023年12月1日)
※本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。

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