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5.生産者に情報発信した効果は?

株式会社津軽りんご市場
専務取締役 大中 実 氏

ポイント

即効性の高い利益直結型情報
・「まさかこの規格外に高値がつくとは!」生産者の手取り向上に寄与
・生産者も営業担当者も笑顔にする、現場密着型の情報発信

継続が重要な経営思考型情報の効果
・生産者がどうしたら増収増益できるかを考えるきっかけになった
・これまでブラックボックスだった青果流通・価格決定への理解が進んできた

情報発信が生む変化と可能性
・閉塞感を打破する「情報発信」の力
・どんどん情報を発信して、どんどん考える人を増やすと、産地の未来が動き出す

即効性の高い利益直結型情報

 利益直結型情報は、その名の通り手取り金額の向上に即効性があります。そのため、生産者が個人的にもよく使用しているLINEに発信し、1日たりとも情報を見逃さず、有効に利用していただきたいと考えています。

 例を挙げると、上場すると値がつかず“加工品”に回されるりんごと、値のつく“ハネ品”として売れていくりんごの境界線を生産者に伝えています。そうすることで、『平年であれば市場で値がつかないピンコが、今年は品薄で5,000円/箱になっているので市場に持ってきてくださいね!』という情報が画像付きで瞬時に皆に伝わることとなります。
 こうした情報が今シーズンは大バズりし、多くの生産者の手取り向上に寄与しました。

 産地担当者は、自分が担当する生産者や出荷組合の販売単価の最大化をお手伝いすることで、お客様の有利販売に貢献しようと日々努力しています。そのため、市場で引き合いが強まっている等階級をいち早く伝えたくてウズウズしています。LINEを使ってお客様のためになることは、営業マン冥利に尽きる喜びだと思いますし、実際に多くの生産者から感謝の言葉をいただいています。

継続が重要な経営思考型情報の効果

 経営思考型情報に即効性はありませんが、生産者の思考が日々の農作業や相場だけではなく、中長期的な経営全般に行き渡るきっかけとなるものです。

 人間とは「情報を目にすると、その情報に対して自ら考えたり、疑問を持ったり、意味を見出そうとしたりする」生き物です。しかし現状は、農家さんは「製造」部分を担い、「販売」以降を市場に預けるという、製販分離になっています。そのため、農家さんにとって、流通事情や市場相場の決定要因などがブラックボックスになり、思考する幅が狭い状態です。

 そこで情報をオープンにして考える機会を提供することで、自身の営農方針に思いを巡らすきっかけとなります。仮説を立てて実践し、結果を検証して次につなげるというPDCAサイクルの第一歩が“情報の開示”です。生産者には増収増益のヒントを与え、買参人には仕入れの整合性を確信させる材料となります。

 今年度から卸売市場内のディスプレイの表示内容を変更したところ、生産者や買参人から高評価をいただいています。『相場変動の理由の一部がわかった!』『産地担当者が適期上場を呼びかける理由がわかった!』『りんご産地全体の動向が知れて、自分の収穫作業と比較できる』『仕入れ時の根拠になる』など、さまざまな声が寄せられています。

 昨年度までとは違い、明らかに“情報を見て自ら考える人”が増えています。これまでブラックボックスだったり、情報が限られていたりしたものを豊富に提供することで、点の情報が線や面となり、複合的に分析できるようになりました。

卸売市場内のディスプレイ


入荷内訳

主要品の上場進捗状況

fudoloopを活用して継続的に生産者へ情報発信している販売結果速報


情報発信が生む変化と可能性

 さらには、開示した情報がお客様に有用なのかどうかといった効果を測定することもまた、相手からの反応をいただくという意味ではコミュニケーションを深めることとなりますので、重要だと考えています。

 ここで例え話を一つします。裸足の民族が暮らす島に靴を持っていくと、どうなるでしょうか?興味を示した一部の島民が「靴を履くとどうなるのか?」と考えるようになり、試しに履いてみる人が現れ、靴の利便性に気づく人が出てくるでしょう。もちろん、靴が不要な人が大多数なのは変わりません。しかし、裸足の文化から脱した人は、やがて靴を履くことが当たり前の世界に行ってみたいと思うようになり、島を出て外の世界を知ることになるでしょう。そして、そのような人が島に戻ってきて、島に不足している何かを改善するきっかけをもたらすかもしれません……。このストーリーのように、何かを進歩させるきっかけとなるのが「情報」だと思います。

 『人間は考える葦である』という言葉は、フランスの哲学者ブレーズ・パスカル(1623-1662)が、著書「パンセ」の冒頭で記したものです。『人間は自然の中では弱い存在だが、人間は考えることができるが故に偉大なのである』ということを述べています。

 りんご産業においても、情報をどんどん提供し、生産者がどんどん考えるようになれば、高齢化や人手不足といったりんご業界が抱える課題に対しても、良いアイデアを生み出し、解決に向かっていくことができるでしょう。また、適期上場の重要性を理解したり、より効率的に営農して規模拡大を目指そうといった志を持つ人が出る機運につながったりすると思います。

以上

※fudoloopメールマガジン(掲載日:2025年5月2日)
※本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。

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