ポイント
青果市場の”鮮度”と同じくらい重要な情報の”鮮度”
・戦略的な情報発信の強い味方がICT
・情報の”鮮度”と業務の効率化を高める情報発信の具体的な内容
実際に生産者から高評価を得ている”鮮度”命の情報発信の具体例
・競売結果の画像を終了直後に即発信(実際の画像あり)
・情報発信をきかっけに生産者にとって真に有益な情報が何かを探る
反響を見ながら情報発信を行い、情報の量や質を磨き続ける
・はじめは生産者のニーズの仮説を立てて情報発信
・真の情報の有効性は双方向のコミュニケーションにより磨かれる
・生産者や買参人の意思決定に役立つ情報の具体例
青果市場の”鮮度”と同じくらい重要な情報の”鮮度”
前回記載した一覧表のような情報を発信します。これらのうち、ICTを活用して発信する情報を整理すると、以下のようになります。(表1)
表1:情報発信の内容ごとの配信方法および対象者
これらは昔、対面や電話で伝えており、大変な労力と時間を要していたと思います。また、情報にも“鮮度”があり、日々市況が激しく動く青果市場では、昨日のものは“鮮度落ちした情報”となるため、「何をいつ発信するのか?」が重要になってきます。
実際に生産者から高評価を得ている”鮮度”命の情報発信の具体例
ここで、生産者が直接利益を受ける情報の例を、実際のfudoloop画面の画像(画像2)とともに紹介します。
等階級・現物・価格の画像(画像1)を、産地担当者が出荷組合単位で競売終了後、直ちに生産者へ発信しているものです。これを見れば、現在どれくらいの品質のりんごが、どのような相場で取引されているのかが一目瞭然です。
そのほかにも、担当者がタイムリーかつ重要と判断した情報をスピーディーにグループLINEで発信しており、生産者に届く情報の量と鮮度が明らかに向上していると喜ばれています。
画像1:生産者に送る「等階級・現物・価格」の画像
![]() 『今年は「トキ」が小玉傾向のため、業者が台湾と交渉したところ、56-60玉サイズを引き受けてくれるということで、値が付きますので上場しましょう』という呼びかけの画像 |
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![]() 「ジョナゴールド」でカメムシ被害発生。被害痕が大きい場合は加工品(10/8の相場1,500円)扱いとなることを知らせる画像 |
![]() 「ジョナゴールド」のカメムシ被害痕が小さいと、ハネ品(10/8の相場4,500円)として扱えるので、選果を丁寧にするよう勧める画像 |
![]() 「サンふじ」の2番手の色目のピンコ(60玉中心)が4500円していることを知らせる画像 |
![]() 「つがる」で、サイズが56-60玉までは商品価値あるが、それ以下は商品価値がないことを知らせる画像 |
![]() 「王林」上実 5500円 |
![]() 「王林」大玉 6500円 |
![]() 「王林」小玉 4500円 |
![]() 「王林」ハネ 4000円 |
画像2:fudoloopのメッセージ機能を活用した害虫被害報告と出荷指導
生産者が経営思考型の情報でどのようなものを欲しているのかについては、実は生産者自身も最初のうちは分かっていないのかもしれません。ですので、弊社側で「おそらくこんな情報があると便利なのでは?」と推測しながら情報を発信し、「反響の良かったもの=生産者にとって有益な情報」として残すなどの工夫をしています。
なお、生産者と対話することで必要な情報がわかりますので、コミュニケーションを図り、フィードバックを受けようとする意識が大事だと思います。
反響を見ながら情報発信を行い、情報の量や質を磨き続ける
次に、2023年までの発信内容と、更新した2024年からの内容を見比べていただきます。以下の図1はホームページ(以下、HP)に掲載したもので、卸売市場内のディスプレイ(画像3)には、もう少し深掘りした情報(生産者には適期収穫や適期栽培の時期が判断できる情報、選果機を通したりんごと生産者の手選果の平均単価の差情報、買参人には仕入れ時の参考になる情報など)も掲載しています。
図1:情報発信量の比較(津軽りんご市場 HPより)
画像3:卸売市場内のディスプレイを見ている生産者・買参人
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このように変化させた経緯は単純です。津軽りんご市場に2024年6月に赴任した後、ふと卸売市場内のディスプレイを見ると、2023年のHPの内容のような情報だけが表示されている状態で、この程度の情報だけでいいのかなぁ?私が生産者や買参人だったらもっと情報が知りたいなぁと感じました。
そしてこれらの情報を表示している意図や意味を社内で確認したのですが、あまり深く考えていなかったらしく、昔からそうだったので継続していたようです。それならばもっと詳しく、生産者や買参人がじっと見入るような市場情報を掲載してみようとチャレンジしてみました。その結果、ことのほか良い評判につながりました。
以上
※fudoloopメールマガジン(掲載日:2025年4月25日)
※本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。