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10.事業をこのまま続けるか、縮小するか
~中小業者はどうすれば?〜【全12回連載】

株式会社農経新聞社
代表取締役社長 宮澤 信一 氏

 流通がますます大型化する中で、大手業者はともかく、中小業者はどうすればよいのでしょう? 卸・仲卸とも、中小業者の活性化例は全国的にみても非常に少なく、厳しい状況です。仮に取扱高が増加することがあったとして、全国的に市況が高騰しただけというのが現状です。以下は本紙調査による青果卸売業者の経営状況ですが、取扱高がコロナ特需で増加した2020年度でさえ1割が最終赤字で、通常は2割以上が最終赤字です。しかも調査に協力してくれた会社の平均取扱高は236億円、最低でも30億円程。これ以外の中小~零細会社の状況は、もっと悪いものと容易に推測できます。

青果卸の赤字企業数の推移

 この状況に対応するには、会社組織の見直し、営業戦略の見直しなど色々あるかと思います。今回は「事業そのものをどうするか」、つまり「このまま続けるか」「縮小するか」に分けて考えてみましょう。
 まず、「続ける」という方針による成功の一例を挙げると、基本的には「地場産品の商品化」です。どんなに実需者が大型化しても、必ず地場産を欲しがります。その品ぞろえ、系統品には数量や確実性で劣るかもしれないですが、新鮮で、比較的値頃で、しかも農家の顔が見える安心感が地元の消費者に受け入れられやすいことは、いうまでもないでしょう。
 もちろん、近場の農家さんとはすでに取引されているでしょうし、その農家の高齢化も進んでいるものと思います。ただ、面倒な発送作業などから解放されて生産に専念できること、そしてとくに免税農家でも市場に委託出荷(これは帳合上だけでもよいのですが)すれば、インボイスを発行しなくても済む「卸売市場特例」が使えることを、農家に訴えたいものです。その際、品目は農家まかせではなく、市場業者があらかじめ実需者と商談し、「何が欲しいか」を農家にフィードバックすべきです。
 もうひとつ挙げられるのが、コンビニへの納入です。オーダーによる買取り方式や、市場業者が自由に価格と納品量を決定しての消化仕入れなど、契約方式は各チェーンで異なります。しかし地域の青果商の減少を補う効果もあり、強化するコンビニチェーンが出ています。
 また、地場産とは逆ですが、「ライバル業者にない品揃え」も有効かも知れません。一例を挙げますと、これは仲卸ですが、首都圏の仲卸が青森県に支店を設置し、ながいも、にんにく、ごぼう、だいこんなど、特産品を仕入れています。地元市場にない品揃えを活かして量販店などへの販売を強化するほか、全国の市場に販売しています。

 その一方で、「縮小する」という判断もあって良いと思います。地場産地の現状、実需者の方針、そして自社の資金や人材などを鑑みて「明らかに売上げが減少する」という場合、「何がなんでも事業を伸ばす」という考えにとらわれて従来路線を変えなければ、倒産に向かって突き進むようなものです。
 その観点でもっとも効果を上げているのが、民営市場による「土地の活用」です。取引先と売上げが減ってこれまでのような規模が必要ではないなら、市場施設はコンパクトに再整備し、空いた土地を小売店や外食店に貸し出して、安定的な不動産収益を得ることは、決して後ろ向きではありません。それにより本業の赤字をカバーし、将来にわたって地域と取引先に貢献できるのですから。
 この手法では埼玉県の民営市場が大成功を収めたことが有名ですが、各地でも実施されています。なかには年間取扱高5億円規模の市場でも実施例があり、収支改善に成功しています。なお実施にあたっては、その不動産収益は営業外収益ではなく、「営業収益」に組み込むべきでしょう。土地の活用も立派な事業です。経営者は胸を張ってよいと思います。

 そのほか縮小路線を個別の営業に落とし込んだ場合、「何をやめるか」も考えたいものです。無理しての系統品の品揃え、量販店対応、あるいは特定の顧客だけに対応するための仕組みと長時間勤務。これらは人材確保の上でも重要です。

※fudoloopメールマガジン(掲載日:2023年5月12日)
※本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。

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