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23.第3章 市場から農家に対してのアプローチ(8)〜市場ができる経営支援4 農家の相談相手になる〜【全25回連載】

青果流通経営コンサルタント 本田 茂 氏

 農家は事業主でもあります。いわば、市場の社長と同じ立場です。作物の心配ばかりではなく、家族、スタッフ、設備投資、資金繰り、地域内の集まり(これが結構大変です)と、日々様々なことに頭を悩ませています。そして、弱音や悩みを誰にも話さずに1人で抱えていることが多いです。「経営者は孤独」とよく言われますが、まさに農家も同じなのです。
 そのため、荷物をもらうためだけに会話するのではなく、農家の悩みを聞くことこそが日頃農家と近くにいる市場ができる大事な支援であると考えます。そこで、農家の相談相手になるために有効な技術を3つ紹介します。いずれも、ビジネスの場ではよく使われる用語・技術ですので、ぜひ皆さんにも身に付けてほしいと思います。

ヒアリング

 ヒアリングとは、相手の話をよく聞くことです。相手を受け入れる姿勢を見せることで信頼関係を築くことができ、相手は本心や悩みを打ち明けやすくなります。大切なのは、以下の3点を意識することです。

(1)相手の目を見て話を聞く
 話を聞くときにやや前傾して相手の目を見ることで、「今からあなたの話を真剣に聞きます」という気持ちが伝わります。ただし、見つめすぎると威圧的になるので適宜視線をそらすことも大切です。

(2)頷きながら話を聞く
 相手の目を見ると同時に、頷きながら話を聞きましょう。相手の話のペースに合わせて頷くと相手は話しやすくなります。

(3)共感しながら話を聞く
 話の合間に「その気持ち、わかります」「そうですよね」「なるほど」など、相手の気持ちに共感する言葉を返してあげましょう。相手に共感の気持ちを伝えて、気持ちよく話してもらうことが目的です。自分の気持ちが分かってもらえていると感じ、より話してもらいやすくなります。

 これら3つを意識した話の聞き方を「傾聴」という言葉で表すこともあります。この技術で重要な点は、相手に共感のメッセージを伝えて、気持ちよく話してもらうことです。相手の話を聞くときには、途中で話を遮って口を挟んだり、腕組みをして威圧感を相手に与えないよう注意が必要です。

コーチング

 「コーチング」という言葉から、一方的に指導をするイメージを持つ方もいるかもしれませんが、コーチングとは、問いかけをすることで気付きを与え、自主的に行動するよう働きかけることをいいます。この技術で大切なのは、解決方法や答えを教えるのではなく、相手に考えてもらうために効果的な質問をしていくことです。
 効果的な質問の例をいくつか紹介します。例えば、将来について考えてもらいたいときには「この状況が続くとこの先どのような課題が発生すると思いますか?」「10年後、農業はどうなっていると思いますか?」のように質問すると、農家が自ら将来を考えるきっかけを与えることができます。口だけでなく行動に繋げてほしいときには「その目標を達成するためには何か実行できることはありますか?」のような質問を、視野を広げて考えてほしいときには「他に考え方はありませんか?」のような質問を投げかけると、相手に物事を考えてもらうことができます。
 ヒアリングと同様、コーチングという技術も簡単そうに見えて難しいです。なぜなら、つい答えを言いたくなったり、自分の考えを言いたくなるものだからです。コーチングについては、現在多くの書籍が出版されています。詳細は、そういった専門書でぜひ勉強してみてください。

コンサルティング

 コンサルティングとは、相手の状況や課題を整理し、専門的な解決策を提案し実行を支援することです。ここでは、コンサルティングの中でも「相手の状況や課題を整理する」という部分を市場が支援することが大切だと考えます。
 状況や課題を整理する方法の1つに、「SWOT(スウォット)分析」というものがあります。これは「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の頭文字から名づけられた手法で、事業の状況をこの4つに分類することで整理していくものです。
 下図のように対象農家を取り巻く状況をこの4つに分類することで、課題が明確になっていきます。その農家の強みや、どこに機会があるのかを把握できれば、それを活かすことが可能です。

図 農家のSWOT分析の例

 このように、今回紹介した様々な技術を活用しながら、農家の相談相手になることで彼らの経営を支援してほしいと思います。

市場に知ってほしい農家アプローチ実践のためのワンポイント

・農家の相談相手になるために、ヒアリング、コーチング、コンサルティングの技術を身につけましょう。
・農家に悩みを話してもらうことが最初の一歩になるため、ヒアリングの際には相手の目を見ること、頷くこと、共感することが特に大切です。

以上

※fudoloopメールマガジン23号(掲載日:2022年6月3日)
※本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。

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