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19.第3章 市場から農家に対してのアプローチ(4)〜情報のフィードバック2 管内農家のデータの提供〜【全25回連載】

青果流通経営コンサルタント 本田 茂 氏

 今回も前回に続き、農家への情報提供について解説します。
 農家は収支状況などを把握できていない傾向にあるということを何度もお伝えしてきましたが、その反面、管内の他の農家の収量や反収などを非常に気にします。筆者は毎月農家への勉強会を開催しておりますが、その勉強会の生徒に自身の1反あたりのデータを他の生徒のものと比較してもらったところ、いつも以上に熱心になっていました。このように多くの農家は、管内の他の農家の数字に非常に関心を持っています。

 農家に融資する政府系の金融機関に、日本政策金融公庫があります。ここでは、全国の貸付農家データを活用して、農家への経営指標の提供サービスを行っています。しかし、日本政策金融公庫が提供するのは全国のデータのため、比較範囲が広すぎて参考にしにくいです。その点、対象地域の販売データを幅広く持っている市場は、その地域に特化したデータを提供することができます。

 農家がまず気にするのは、他の農家の数量です。そのため、出荷数量を比較したデータを提供すると農家は喜びます。各農家の名前を伏せたデータでも十分です。

図 月別 個人別出荷数量 (単位kg)

 また、下表のように出荷実績を等階級別一覧にしてみることで、他の農家との生産量、等階級比率、単価が比較でき自分の現在位置が分かります。

図 農家別 出荷実績一覧

 その他、数量別、単価別、金額別など、市場は農家に有益な情報を提供することができます。他産地との比較をしてみても面白いです。
 今日の市場では、農家に指摘を受けないよう販売データを提供していないかもしれません。しかし、相場を曖昧にして販売データを隠すことで、結果、農家は市場の販売が見えなくなり、取り扱いが減少しているのが現実です。発想を変えて、農家の興味のある金額、数量、反収、単価の公開をし、農家に新たなアプローチをしてみませんか。

市場に知ってほしい農家アプローチ実践のためのワンポイント

農家は、管内の他の農家と自分の比較を知りたがっています。定期的に農家へ比較データを見せながら、農家のPDCAサイクルを回す手伝いをし、今後の販売について掘り下げて協議することが大切です。

※fudoloopメールマガジン19号(掲載日:2022年5月6日)
※本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。

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